2026年1月1日から施行された廃棄物処理法施行規則の改正により、産業廃棄物の処理を委託する際の契約書に、特定化学物質(第一種指定化学物質)の名称および含有量等の記載が義務付けられました。これは、排出事業者から処理業者への情報伝達を強化し、廃棄物処理における事故や環境リスクを未然に防ぐことを目的とした重要な改正です。
改正の背景:情報伝達不足による事故の発生
今回の改正は、排出事業者から処理業者への情報伝達が十分でなく、適正な処理が行われなかったことが原因と強く推定される事故が発生していたことから、排出事業者が産業廃棄物の運搬又は処分を処理業者に委託する際に当該廃棄物に含有される化学物質等の情報伝達を義務付け、廃棄物処理における事故及び生活環境保全上の支障の発生を未然に防止するために行われました。
廃棄物の適正処理には、排出事業者が処理業者に対して、廃棄物の性状や含有化学物質に関する情報を正確に伝えることが不可欠です。法第12条第6項に基づく委託基準の一環として、契約書への記載事項が見直されました。
改正のポイント:第一種指定化学物質の記載義務
新たに追加された規定(施行規則第8条の4の2)では、以下のような要件が定められています。
- 対象事業者:化管法第2条第5項に基づく「第一種指定化学物質等取扱事業者」
- 対象物質:化管法第5条第1項に基づき把握すべき「第一種指定化学物質」
- 対象廃棄物:当該化学物質が「含まれ、又は付着している」産業廃棄物(※含有割合が1%以上、特定第一種指定化学物質の場合は0.1%以上)
- 記載内容:化学物質の名称および量または割合、その他取り扱い時の注意事項
なお、化学物質の量や濃度については、必ずしも実測値である必要はなく、文献値や含有率等を用いた推定値でも差し支えありません。また、「〇%~〇%」のように幅を持たせた記載も可能です。
経過措置について
この改正は2026年1月1日以降に新たに締結または更新される委託契約書から適用されます。すでに締結済みの契約書については、契約更新時に新たな記載義務が適用されるため、直ちに修正が必要というわけではありません。
ただし、更新時期が近づいている場合や、契約内容の見直しを予定している場合には、早めに対応方針を検討しておくことが望まれます。特に、対象となる化学物質の特定や情報整理には一定の時間を要するため、今のうちから準備を進めておくことが重要です。
実務対応の鍵:WDS(廃棄物データシート)第3版の活用
WDSは、排出事業者が処理業者に情報提供すべき項目を記載できるツールとして作成したものです。環境省は、今回の改正にあわせて「廃棄物情報の提供に関するガイドライン(第3版)」を公表し、WDS(Waste Data Sheet)の活用を推奨しています。WDSを活用することで、契約書への記載内容の整理が容易になり、情報伝達の確実性が高まります。
当事務所の支援サービス
当事務所では、今回の法改正や関連制度に対応するため、以下の支援サービスをご提供しています。
- 産業廃棄物処理委託契約書の作成・見直し支援
法改正に対応した契約書の整備をサポートいたします。契約書の記載内容や見直しのタイミングについても、個別の状況に応じてご相談いただけます。 - PRTR制度対応支援
環境マネジメントシステム(EMS)の導入支援のノウハウを活かし、PRTR制度の届出や化学物質管理体制の整備を支援します。制度間の連携を意識した運用体制の構築もご相談いただけます。